2015年10月28日水曜日

50代から始める知的生活術~「人生二毛作の生き方」

思考の整理学という本がある。

思考の整理学 (ちくま文庫)
1986年に書かれたので、もう約30年前の本なのだが、Amazonではいまだに ちくま文庫の書籍の中でもっとも売れている。いわゆるアイデア創出のための方法論、いまで言うライフハックのようなものが、読みやすい文体で書かれているものだ。

著者の外山滋比古氏は、今でもたまにテレビに出演されることがあるが、今年で御年92歳! ボケなどはまったく感じさせない。この外山氏が今年出版されたのが、50代から始める知的生活術~「人生二毛作の生き方」だ。

50代から始める知的生活術~「人生二毛作の生き方」~ (だいわ文庫)

私は一時、自己啓発本を読みまくっていたときがあったのだが、ある時を境に一切読むのを止めた。書いてあることがほとんど同じだったり、結局自分が実践できなかったりというのが主な理由だったが、「20代にしておくべき…」、「30代の君に贈る…」、「40代までにしておくべき…」というタイトルの本が多くある中、年齢を重ねた自分がだんだんと対象読者で無くなっていくことを知らされるのが辛く、書店でも自己啓発本があるコーナーからは足が遠のくようになってしまった。

なので、この50代から始める知的生活術~「人生二毛作の生き方」は久しぶりに読む、年齢をタイトルに入れた自己啓発本だ。タイトルに50代とあるが、30代でも40代でも役に立つ内容だ(もっとも対象は50代以上なので、若い人が読むと将来過ぎてピンと来ない話題も多いかもしれないが)。また、知的生活術と含まれているが、中に書かれているのは読書とか学習とかの話だけではない。資産形成術や人間関係への助言も溢れる。なにせ、92歳でピンピンしている人の話なので、やたら説得力がある。

最近、2つの名刺を持てだとか貯蓄から投資へという話はあちこちで聞くが、この本でも述べられている。この本の凄いところは、それが50年前など、普通はそのようなことを考えないときに著者が行っていたことをもとにしているところだ。著者の半生記として読むだけでも楽しめる。

忘却を是とする。人間関係には賞味期限がある。このような考えにも激しく首肯した。特に後者は中島義道(Wikipediaを見るよりも、書籍タイトルを見るほうがそのひねくれぶりはわかるだろう)を思わせるところが無くもないが、よりマイルドで、実践可能と感じさせる。

本書を30代や40代にもお勧めすると書いたが、本を開いた途端に、50代以上を対象にしていることはすぐわかる。文字がとても大きいからだ。
それが嫌では無ければ、お勧め。