2009年8月29日土曜日

なぜ宇宙人は地球に来ない?

この本を超常現象を笑い飛ばす本と思ってはいけない。

著者が松尾貴史氏なので、もちろん否定的な部分が大半だ。だが、常識や科学を持って、古来から伝わる伝承などを含む超常現象を単に笑い飛ばすのではなく、なぜそのようなものが信じられているか、その背景を解説する。一種の文化論とさえなっている。

そのような本として捉えると大変優れた本ではある。Amazonでの評価が高いのも頷ける。

ただ、私はこの種の本にはB級なものを求めてしまうので、正直ちょっと物足りなかった。

なぜ宇宙人は地球に来ない? (PHP新書)
しりあがり 寿

4569706452

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この本から、そういやいろいろと怪しげなグッズって売っていたよなぁと思い出せたのは良かった。ネット通販でも売っているようだから、買ってみようかと考えている。自宅に送られると家族にばれるので、会社宛で。会社の受付嬢もこんなの送られてきたら、びっくりするかもしれないが。

    

というか、ピラミッドパワーに至っては、もう訳がわからない。これは何?



と思ったら、これは商品名だけなのね。びっくりした。

下が正統派。



こっちもすごそう。



おもしろい ;-)

2009年8月10日月曜日

日本人の知らない日本語

夜中に風呂に入ったりしたとき、ただぼーっとしながら本を読みたいと思うときがある。軽いエッセイでも良いし、テンポの良い新書でも良いのだが、コミックというのも捨て切れない。最近では、「ちはやふる」を5巻まで風呂の中で読んだ(風呂の中だけではないけれど)。

この「日本人の知らない日本語」も同じように、ぼーっとしているときに読むのがお勧め。日本語教師の体験に基づく、外国人学生の素朴な日本語に対する疑問や笑わずにはいられない勘違いエピソードなどが書かれている。我々が自然に使い分けている日本語も、第二言語、第三言語として学ぶ場合、いくつも不思議なことがある。また、日本人でさえ正確には理解できていないことも多い。たとえば、「歳」と「才」の違いなど。

カタカナやひらがなの由来、消えてしまったカタカナのことなど「へー」って思うことも多い。日本で使う○や×の記号が日本以外の多くの国では逆の意味になること、つまりOKの場合は×(というよりもチェックマーク?)で、間違いを指摘したいときなど、そこに○をつける、というのも本書で初めて知った(偶然にもそのあと、米国在住の知人からも同じ話を聞いたが)。

コミック形式なので内容はそう厚くないが、楽しみながら、日本語学校のことや知っているようで知らなかった日本語のことを知ることができるので、お勧め。価格に見合うかどうかは微妙だけど。

日本人の知らない日本語

4840126739

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2009年8月9日日曜日

現実入門 ほんとにみんなこんなことを?

佐野元春に「情けない週末」という名曲がある。今となっては、ある年代以上の人にしか知られていないかもしれないが、名曲なのだ。けだるい感じのイントロから始まり、たたみかけるようなサビにいたるまで、なんとも言えない魅力を秘めた曲だ。

JASRACから許可を得ていないし、得る気も無いので、ここに歌詞を貼れないのだが、是非、ネットで調べて、歌詞を読んでみて欲しい。できれば、曲と一緒に。「現実」、「生活」というコトバの重さがわかるだろう。

実は、この「情けない週末」についてブログなどでどう書かれているかを検索していて見つけたのが本書だ。「現実入門 ほんとにみんなこんなことを?」というタイトルの通り、良い年齢にもなって、一般的なことさえ体験していないことばかりな筆者が一つ一つそれらにチャレンジし、「現実」に入門していくというのが本書の内容だ。このブログでも何回か書いている「モラトリアム」な状況の筆者が執筆というコミットメントによって、現実に目覚めていくというのが一応の建前としてのテーマなのだが、「建前」と書いたとおり、まったくそのようなロールプレイングゲーム的な発展はない。当たり前のことがなんで当たり前なの?という疑問符一杯の展開のまま最後まで進んで行く。最後はいきなりメルヘンチックに終了するが、これはこれで種明かしっぽく見せかけて、フィクションだかノンフィクションだかわからない感じにしていて、面白い。この穂村弘さんという筆者の方、歌人というだけあって、読ませるなぁと思う。面白く書いたつもりのものがすべると悲惨なことになるのだが、本書に関して言えば、それはない。少なくとも私は終始にこやかに読ませてもらえた。著者のほかの書籍も是非読んでみたいと思わせるほど。

それにしても、「生活」というのは愛すべきものなのか。破滅型アーティストが好きなこともあり、どうもこの「生活」というものとの距離感を未だに掴みかけている。誰か教えて欲しい (^_^);;;

現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)

4334745482

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もうおうちへかえりましょう
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2009年8月8日土曜日

すきまのおともだちたち

大好きな江國香織さんの小説。表紙にどっかで見た絵。「こみねゆら・絵」って書いてある。どこで見たんだろう。

私はかなりの夢想家だ。いろいろ夢を見て、どこまでが現実でどこまでが夢だったのか、わからなくなることがある。小学生低学年のころにも、友人といろいろと夢の世界を作り上げて遊んでいた。小学校3年ごろだったと思うのだが、不思議な世界を描いた読み物に凝っていた。UFOやUMO(当時はUMOという言葉は一般的ではなかったと思う)など、今と違ってゴールデンタイムのテレビでもギャグとしてでなく、不思議世界の紹介がなされていて、かなりの視聴率をとっていたと思う。夜、友人とUFOを探しに空を眺めたりもした。

四次元の世界というのも当時流行っていた。バミューダトライアングルの話や急に蒸発してしまった人の話など、背筋を寒くさせながら、友人と話した。話すだけでは物足りなくなって、同級生が下校した後の校舎を走り回り、どっかで急に四次元の世界に引き込まれるのではないかとどきどきしたり、わくわくしたり。あっちの世界に行くのが怖いくせに、どっかでそのような存在に憧れる自分がいた。

この「すきまのおともだちたち」は、今までに読んだことのない異色な江國作品。いつの間にか引き込まれてしまった別の世界での少女との友情。あっちの世界は時間が進まず、こっちの世界がメインの自分が年齢を重ねて行く。

当たり前だが、この小説は四次元の世界を描いたものではない。どっかで変わらないものがあること、当たり前のことが当たり前でない別世界。そのようなものをメタファーとした小説だ。

正直、ファンタジーのようなものがあまり得意でない私はあまり引き込まれなかった。ほんわかとしたリズムに包まれるようにして完読はしたが、もう1度読むかと言われると、たぶん読まない。悪い小説ではないと思うのだが、私は現実主義なので。

あれ、冒頭で夢想家って言っていた自分はどこ行った?

すきまのおともだちたち (集英社文庫)
江國 香織

4087462935

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2011年 新聞・テレビ消滅

佐々木俊尚氏からの贈呈。佐々木さん、いつもありがとうございます。

さて、佐々木さんの著作はほとんど読んでいるのだが、いつも感想を書くのに苦労する。私の勤務先に関係するテーマが多いからだ。今回はいつもに増して感想を言いにくい。私の別ブログで書かせていただいた3Cモデル(Contents/Container/Conveyer)を本書の解説に採用されているからだ。
コンテンツとコンテナとコンベヤ

メディアによりユーザーに提供されるものはコンテンツである。これをどのような表現形態で提供するかを決めるのがコンテナである。メディアの場合、コンテナはフォーマットと呼んでも良いかもしれない。ちょうどいろいろな荷物がコンテナに詰められて運ばれる様子を想像して欲しい。

実際にコンテナという形態に包まれて実際にユーザーに届ける部分がコンテナである。

ネット時代のメディア戦略 ― 垂直統合から水平分散へ - Nothing ventured, nothing gained
私のブログでは亀のようにゆっくりとしか、このテーマでの投稿を出来ていないのだが、佐々木さんは私の心を読み取ったかのように、本書でこの3Cを使ってメディアの将来を予想する。

本書で予想されるメディアの将来は悲惨だ。2011年、つまり再来年には新聞・テレビは消滅すると言う。私自身は消滅するとまでは言えないが、全国紙が5紙残っているとは思えないし、テレビの影響力もかなり弱くなっているだろう。私は2011年7月24日を境に何が起こるのか本当に興味がある。私個人はテレビをまったく見なくなる可能性も捨て切れない。今でも、1日のうちにテレビを見る時間はもう1時間をきっている。日によってはゼロのこともある。それでも何も困らない。NHKの秀逸なドキュメンタリーやテレビ東京のビジネス番組を見れないのは残念だが、特にそれで話題について行けないということもない。

本書では、米国での事例や日本のメディア内部の裏事情までを交えて、メディアの行く末を描く。テンポ良く進み、読み物としても非常に良く出来ていると思うのだが、アマゾンなどでのレビューを見ると、評価は必ずしも高くないようだ。テンポ良く書いた分、中身が薄いと思われてしまったこともあるようだし、また業界内部を過激に暴いたことがかえって中立性を失ったと思われてしまったようでもある。だが、少なくとも業界内部についてはある程度知ることができる私から見ても、このぐらい過激に、そして読みやすく書かないと、本当に本書を読んで欲しい人たちには届かない。これでも届かないかもしれないくらいなのだから。

なお、このテーマに関しては、予告通りNothing ventured, nothing gainedで展開する予定。ゆっくりな展開になると思うが。

2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)

4166607081

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