2008年10月22日水曜日

LOVERS―恋愛アンソロジー

LOVERS―恋愛アンソロジー (祥伝社文庫)
LOVERS―恋愛アンソロジー (祥伝社文庫)

このブログでも何回か書いているが、男のくせに女流作家が嫌いじゃない。しかも恋愛小説をたまに読みたくなったりする。出張の時など、ビジネス書や雑誌などと一緒に数冊、文庫本を買うことが多いが、その中の何冊かは女流作家の恋愛小説だ。

この本はそんな女流作家による短編恋愛小説集だ。収められているのは、江國香織、川上弘美、谷村志穂、安達千夏、島村洋子、下川花苗、倉本由布、横森理香、唯川恵の9名。平成15年に初版1刷で、平成19年に29刷なので、売れているのだろう。みんな恋愛に飢えているのだろうか。

失礼だが、このように1冊に短編がまとめられると、作家の力量が一目瞭然とわかる。いや、力量と言うのは、私の完全に個人的な観点からだが。

江國香織はやはり圧倒されるものがあるし、川上弘美も読ませる。文章で読ませると思わせたのはこの2人。谷村志穂はたぶん初めて読んだのではないかと思うが、悪くなかった。ちょっと軽いけど。

ほかはライトノベルというのだろうか。ちょっと自分には文体が合わない。しかも、なんかうそっぽい話が多い。小説なのだから、フィクションで良いのだが、中途半端なフィクションというか。

収穫は、これでどの作家の本が自分にはあっているかわかったことかな。

以下、作家と収録作品および寸評(ってほどのことは書いていないが)。酷評申し訳ない。

江國香織-ほんものの白い鳩
圧巻

川上弘美-横倒し厳禁
なかなか

谷村志穂-キャメルのコートを私に
登場人物が魅力的

安達千夏-ウェイト・オア・ノット
今ひとつ

島村洋子-七夕の春
ストーリーの勝利

下川花苗-聖セバスティアヌスの掌
今ひとつ

倉本由布-水の匣
もう一ひねり欲しい。コミックっぽい。

横森理香-旅猫
コミック向けかと

唯川恵-プラチナ・リング
まったく

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