2008年5月31日土曜日

ビジネスマンのための「数字力」養成講座

理系を出ている癖に数字に弱い。こんな仕事していて数字が苦手というと他人は驚くし、自分でも恥ずかしいのだけれど、でも本当だ。

数字に弱いとは言っても、暗算は得意だし、自分に必要な数字は覚えている。最近でこそ携帯を見ないとわからなくなったが、ちょっと前までは良くかける電話番号はそらんじていえたものだ。

苦手だという数字は企業会計の数字だったり、円とドルとの換算を含んだり、KとかMに変換しなければいけなかったりするグローバルなコミュニケーションでの数字だ。外資に長年勤めていて、こんなんで大丈夫かと思うんだが、あまり大丈夫ではない。

なぜ、こういった数字が苦手なんだろうと改めて考えてみたのだが、おそらく、
  • 自分の生活からはかけ離れた大きな数字
  • 自分の興味がわかない数字
  • 切迫感のない数字
というものに対してはどうやら苦手意識が働くようだ。

誰でも自分の年収はわかるだろうし、大体の家計もわかる。それがわからないと死活問題だからだ。だが、大企業に勤めていたりすると、自分の会社の売り上げや利益などがわからないことも多いだろう。自分の生活に密接するものではないし、つぶれかねないような会社でない限り、毎期/毎年その数字を追う必要もない。

特に技術者ともなると、営業の数字などは自分からかけ離れた存在になってしまうことも多い。以前、自分でグループを率いていたときは、会社の売り上げや利益などを同業他社と比較したり、異業種で同じような売り上げ規模の会社をあげるなどして、グループで実感するようにしていた。こうすることで、多少なりとも数字が生きたものとなって自分たちのところに降りてきた気がしたものだ。

このビジネスマンのための「数字力」養成講座は、まさにいかに数字を見るかに焦点をあてた本だ。冒頭にも「90分で」と書かれているが、まさしく90分ほどで読み終わるように簡潔にまとめられているが実用度は高い。

本書では数字力を以下の3つに分類する。
  1. 把握力: 全体を把握する力
  2. 具体化力: 具体的に物事を考える力(発想力にもつながる)
  3. 目標達成力: 目標を達成する力
把握力では、1) まず関心を持つ 2) 数字の定義を知る 3) 数字と数字の関連付けができる 4) 基本的な個別の数字を把握している 5) 以上を踏まえて未知の数字の推論をする ことが必要なステップとしている。たとえば、営業利益と経常利益の違いを知る必要があるし、GDPと個人の年収との関連を知っていると数字のつながりが見えてくる。多くの数字は基本的な数字を元に推測ができるのだが、それでも10か20くらいは基本的な数字を知らないとその推論の元となるものも見つけられない。たとえば、日本の人口などはその基本の数字の1つだ。

推測/推論というところで述べているのはフェルミ推定と言われるような考え方であり、最近、「地頭力」という言葉でも説明されている能力だ。これは今度また説明したいが、要はこういうものを含めた数字に対する親しみを持つことにより、世界が広がることをこの本は述べている。

さらにはそれぞれ、もしくは具体化力や目標達成力についてのTipsも書かれている。ノウハウ本と言ってしまってはそのとおりなのだが、不必要な装飾もなく、好感できる。

90分で読めるのでお勧め。

ビジネスマンのための「数字力」養成講座
小宮 一慶

4887596219

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