2008年1月30日水曜日

家族シネマ

読後に何か嫌な感覚が残る。もっと言えば、読んでいるときから苦痛だった。途中で読むのを止めようかと思うほど。

柳美里氏の作品は「」、「」、「」、「」といういわゆる「命四部作」しか読んだことが無かったので、本書とゴールドラッシュを購入し、さっそく本書から読み始めてみた。

3つの短編で構成されている。「家族シネマ」は芥川賞受賞作。ばらばらとなった家族が妹の映画出演のために再開する話だが、ストーリーがとっぴ過ぎる。そういう小説は嫌いではないが、なぜかストーリーを冷静に読んでしまって入り込めない。「真夏」は短すぎて何も残らない。「潮合い」は3作の中では最もテンポ良く進み、ストーリー展開にもひきつけられるものがあるのだが、いかんせん暗すぎる。転校生に対するいじめの話だ。

全体的に思うのだが、不幸が前面に出すぎている気がする。投げやりな感じというか、厭世観に浸っているというか。いずれにしろ読み進めるのが辛くなる。カスタマーレビューなどで作品よりも著者が酷評されていたが、その理由が少しわかったように思う。

これと一緒に購入した「ゴールドラッシュ」も読む前から印象が思いっきり悪くなっている。だけどせっかく買ったのだから、とりあえず読み始めてはみよう。

家族シネマ (講談社文庫)
柳 美里

4062646684

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