2007年10月11日木曜日

劇的3時間SHOW - 亀田誠治

Japan International Contents Festivalという複数のイベントにより構成されるFestivalが、9月末から10月末まで開催されている。



このFestivalのEventのうちの1つで、劇的3時間SHOWというものに昨日参加した。「10人のコンテンツプロフェッショナルが語る劇的3時間SHOW」というのが正式タイトルで、佐藤可士和氏、鈴木敏夫氏(スタジオジブリ)、亀山千広氏(フジテレビ)などの日本の有数なコンテンツクリエイターが今後を担う若者に向けて、与えられた3時間を自由に使って話すというイベントだ。



私は最終日の亀田誠治氏のトークに参加してきた。周りはほとんどが20代もしくは10代後半の若者。正直、少し居心地が悪かったが、亀田氏の話は非常に参考になった。ちなみに、亀田氏は音楽プロデューサーとして、アンジエラアキ、平井賢などを担当している方で、椎名林檎もデビュー当時から担当していて、今は東京事変のベースも担当している。

会社によって呼び名は異なるが、プログラムマネージャやプロダクトマネージャというジョブタイトルの仕事を私は良く映画のプロデューサーに例えて説明することがあるが、音楽プロデューサーというのも同じような役割だということが亀田氏の説明でよくわかった。

彼の説明から感銘を受けた部分を書き出しておこう。
  • プロならば、仕事の上での当たり前のルールは守る必要がある。遅刻をしない、締め切りを守るなど。
  • 自由なだけな環境からはアイデアしか出ない。制約のある環境でこそ、アイデアを元に複数の人間でクリエイティブなものを生み出すことができる。
  • あえて常識と言われるものに挑戦することで生み出せれるものもある。たとえば、亀田氏は若いときに、「亀ちゃんさぁ、音楽はイントロが大事だよ。亀ちゃんもさぁ、筒美京平先生とかたくさん聞いて勉強すると良いよ」と言われたに反発して、あえてイントロなしの楽曲をアレンジしたという。
  • 人と人とを結びつけるのがプロデューサーの役目。
ほかにもいろいろと感銘を受ける逸話を聞けたが、今後の仕事に活かしたいので、社外の人には内緒 ;-)。それにしても、周りにいた若い連中は、みな、一言一句聞き漏らすまいと、すごい真剣だった。両隣にいた若い女性は二人ともメモを取りまくり。日本のコンテンツビジネスの将来は暗くないと思った。

3時間という長時間のトークだったが、前半もあっという間に過ぎたし、後半はクリス智子さんを相方として、会場からの質問を受け付けた。クリス智子さんも魅力的だったし、こんなイベントが無料で提供されるなんて、日本も捨てたもんじゃない。

2007年10月9日火曜日

大原

昨日、日帰りで京都に行ってきた。京都に行くのは、今年ですでに4回目。本当に今年は京都に行く機会が多い。

昨日は仕事だったのだが、午前中に私の役目は終わったので、午後は行ってみたかった大原へと足を延ばしてみた。

以前、鞍馬比叡山に行ったときにも思ったのだが、京都の中心部からバスで1時間とかからずに、このような場所に来れるとはなんともうらやましい。

大原に来るのは、これが2回目。前回来たのはもう20年以上も前。高校の授業で来た。そのときと同様、まずは三千院を訪れてみた。



高校3年のときに、いわゆる修学旅行でなのだが、私の母校はそれを修学旅行とは呼ばず、『京都教室』と呼んでいた。4~5名でグループを組み、どの寺院仏閣を廻るかを事前に計画し、訪れる予定の場所ごとに担当を決め、きちんと調査を行ってから訪問することを期待されていたのだが、遊びたい盛りの男子高校生にそんな律儀なことできるわけがない(していたグループもあったが)。私のグループも、事前準備は適当に済ませ、当日は勢いで自分たちの決めたコースを廻った。大原には2日目の朝一に来たはずだ。グループに1人写真部の友人がいて、彼が写真を撮ってくれたが、その中の一枚に大原三千院の背の高い木立の隙間から陽が差し込むところを撮ったものがあった。プロが撮ったかと見間違うほどのすばらしさに、東京に戻ってきてから、それを引き伸ばして、額に入れて自室に飾っていた。今回撮った写真に同じように樹木の根元から上を向いて撮ったものが多いのは、彼が撮ったのと同じアングルを探していたからだ。残念ながら、どの場所で撮ったものか見つけることはできなかったが。

三千院も素敵だったが、寂光院もとても気に入った。バス停から三千院の逆方向に20分ほどかかる場所にある。



寂光院は建礼門院徳子が住職を務めたことで有名な尼寺だ。義経ファンの私だが、安徳天皇を亡くした後に入水するも、源氏に身柄を捕らえられ、最後にはこの寺にたどり着く彼女の心情を考えると、思わず切なくなってしまう。平家物語の一節ではないが、諸行無常を感じてしまう。

知らなかったのだが、寂光院は2000年に全焼し、現在は復元されたもの。外見上の歴史的重みは薄れてしまったかもしれないが、なぜか私はそれでもこの寺に心奪われるものがあった。三千院などに比べると、本当に小さい寺なのだが。

ところで、寂光院のホームページ、一見文字に見える部分もすべてGIFイメージで作られている。アクセシビリティもSEOもあったもんじゃない。激しく直したい。

大原のアルバム

2007年10月8日月曜日

会社と自分のキャリアについて-「小さいことばを歌う場所」から考えたこと

今日、京都の某イベントでパネルディスカッションに参加した。そこで、糸井重里氏の書籍「小さいことばを歌う場所」からの素敵な言葉を引用させてもらったのだが、時間が限られていたので、きちんと伝わったか不安だ。参加した人が検索して、ここにたどり着いたときのためにも、ここでちょっと紹介しておきたい。

前回の投稿
ここでいくつかのことば(あえてひらがなにした)を紹介しようかとも思ったのだが、ひとつの投稿にまとめてしまうのはあまりにも惜しいので、これから何回かに分けて、ここで紹介していきたいと思う。

と話したので、その第1弾と考えてもらっても良い。

まず1つ目。
互角か、それ以上の練習相手がいる。
そして、そのひとりひとりが、
自分のためであり、相手のためであるような、
しかもさらに「チーム」のためであると知っていて、
真剣に練習につきあってくれる。
というような会社だったら、
とても魅力ある「いい会社」なのだと思う。

360フィードバックとかピアフィードバックなどの言葉で、上司以外の人間からのフィードバックを評価に取り入れる会社が増えてきているが、他人を評価するときに大事なのが、その人の業績や個人の能力だけでなく、いかにほかの人の成長に寄与できたかだと思う。"Help Others Grow"の精神だ。

2つ目。
自分のキャリアをアップさせることが、
雑誌や本で語られているけれど、
ほんとうは、自分のキャリアよりも
自分のいる場所のキャリアがアップするのが、
いちばん愉快なのではないだろうか。

会社を踏み台にするということは悪いことではない。だが、会社というインフラを活かしてこそできることも多い。すぐに次のキャリアを考えるよりも、まずは自分の組織においてきっちりと成果を出したほうが、将来にはつながるはずだ。私は散々このブログで看板抜きで勝負できることの重要性を説いてきた(半ば、自分を叱咤激励するかのように行っているのだが)。だが、看板抜きで勝負するには、看板をより魅力的にしたからこそできることであることも忘れてはいけない。



お決まりのDisclaimerをここでも改めて書かせていただく(今日のイベントは会社の名前で行ったものだったので)。

このブログは及川卓也の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。